1.保育者として身に付けたい資質・指導力
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以下に示す「保育者として身に付けたい15の資質・指導力」(表1)は、高知県の各市町村の代表者等と有識者で構成される「高知県幼保推進協議会」において、高知県の家庭、地域、子どもたち、保育者の現状等を踏まえ、就学前の質の高い教育及び保育を実現していくために必要な保育者の資質・指導力についてまとめたものです。
保育者として身に付けたい15の資質・指導力
- 子どもの主体的な学びを保障するための環境構成を行う力
- 一人一人の子どもの特性や発達、ねらい等に適した援助を行う力
- ねらいに沿って指導を適切に展開し、改善する力
- 地域の資源を活用し、指導の充実を図る力
- 保護者や必要な機関と連携を取りながら一人一人の育ちを支える力
- 発達や学びの連続性を見通し、指導する力
- 在園児の保護者に対して子育てを支援する力
- 地域の子育て家庭等を支援する力
- 学級経営に関わる事務を的確に処理する力
- 園務分掌とその内容を理解し、企画・立案する力
- 上司や同僚と協働して、円滑に園務を遂行できる力
- 子どもが安心して過ごすことができる施設や遊具等の安全な環境を整える力
- 家庭や地域と連携し、子どもが危険から身を守り、安全に行動できるように指導する力
- 保育者として自分の課題を発見し、自己研鑽していく力
- 乳幼児期の発達や学びを踏まえた教材の研究をする力
平成28年11月に、保育所・幼稚園等の経験年数20年以上の保育者または園長のいずれか1名を対象に、高知県教育委員会事務局幼保支援課においてアンケート調査を行いました。
その結果(306園回答)によると、保育者として身に付けたい15の資質・指導力について、「いつごろ身に付いたと思われるか」という質問に対しては、全体的な傾向として10年目と回答した割合が高く、次いで5年目、15年目となります。
また、現在の家庭や子どもたちを取り巻く状況を踏まえ、保育者として身に付けたい15の資質・指導力は、「いつごろに身に付けることが望ましいか」という質問に対しては、全体的な傾向として5年目という割合が高く、次いで、10年目、3年目、15年目という結果となっており、保育者のキャリア形成※1において、資質・指導力を身に付けて高めていく時期として、項目によって若干の違いはあるものの、3年、5年、10年、15年という一定の年数に集中している傾向にあります。
保育者の資質・能力をさらに高めていくためには、個々の保育者のキャリア形成を図るとともに、自身の目指す保育者像の実現に向けて自らが主体的にキャリアデザイン※2していくことが大切です。そのためには、高知県の実態に応じ、保育者として身に付けたい15の資質・指導力をキャリアステージに応じて示すこと、さらには、園内外の研修を計画・実施することにより、効果的な保育者のキャリア形成が実現することとなります。これらのことは、結果として保育者の資質・能力の向上につながり、質の高い教育及び保育が提供できることにつながっていきます。
以上のことから、本ガイドラインでは、キャリアステージを
- 基礎ステージ:新規採用保育者、5年未満の保育者
- 中堅ステージ:5年〜10年未満の保育者、中堅保育者(10年以上)
- 管理職ステージ:主任・教頭等、所長・園長
として示すこととしました。
今後は、保育者として身に付けたい15の資質・指導力を全ての保育者がキャリアステージに応じて身に付けられるよう、県・市町村・園がそれぞれの立場での取組や連携した取組を推進していくことが何よりも大切です。
※1:仕事を通じて職業能力を習得する活動
※2:自分の仕事人生のプランを自ら設計し決定すること
まずは、子どもに関わる全ての保育者が、小学校以降の児童期とは異なる乳幼児期の発達の特性と、その特性に合わせた教育及び保育の在り方について、正しく理解することが求められます。基本をしっかりと捉えながら、質の高い教育及び保育を求めていきましょう。